日本消化器内視鏡学会雑誌
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クローン病の胃・十二指腸病変に対する生検
―肉芽腫の出現頻度を中心に―
山下 和良樋渡 信夫三浦 正明山崎 日出雄森元 富造大原 秀一渋谷 大助浅木 茂豊田 隆謙
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1164-1170_1

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抄録
クローン病の上部消化管病変について,生検による非乾酪性肉芽腫の出現頻度を中心に,内視鏡所見と対比しながら検討した.胃では潰瘍で67%,微小病変で38%,内視鏡的正常部では19%に肉芽腫を検出できた.一方,十二指腸ではそれぞれ33%,29%,30%の検出頻度であった.胃体部,前庭部,球部,球後部に分けてみても,各群間でのその頻度に有意差はみられなかった.結局27例中17例(63%)に肉芽腫を証明できた.このように,上部消化管にも少なからず肉芽腫が存在することが明らかとなり,クローン病が上部消化管をも侵しうる疾患であることが改めて確認できた.また,上部消化管で主病変の出現が少ないのは,肉芽腫までは下部消化管と同じ病因の関与はあるものの,それ以降の病態に小腸,大腸とは異なる管腔内環境が影響している可能性が示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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