日本消化器内視鏡学会雑誌
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急性胃粘膜病変の臨床的・内視鏡的検討
―特に前庭部急性対称性潰瘍について―
西元寺 克禮一原 亮陶山 紳一郎岡部 治弥為近 義夫
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1989 年 31 巻 7 号 p. 1783-1793

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抄録
1971年より1987年12月までに北里大学病院で経験した急性胃粘膜病変(AGML)の231例の臨床的・内視鏡的分析を行った.231例のうち多発潰瘍を主とする急性潰瘍が130例,ulcero-erosionを含む急性びらん性胃炎が101例であった.AGMLの誘因では薬剤(87例),精神的ストレス(57例)が最も多く,原因不明のものは51例であった.主訴は大部分の症例が出血と心窩部痛で発症しており,誘因別に病変発生部位を検討すると,抗炎症鎮痛剤では胃体上部と前庭部が均等であるのに対し,精神的ストレス,原因不明のものは前庭部に多かった.典型的幽門前庭部急性対称性潰瘍は36例で,薬剤によるものと精神的ストレスならびに不明群とは異なる原因で発症することが推測された.また前庭部慢性消化性潰瘍とは治癒,再発等経過が異なっており,急性対称性潰瘍が慢性化する頻度は低いことが推測された.
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