1989 年 31 巻 8 号 p. 2113-2120
PEG法の利点を損なうことなく服用量を減らす目的で,PEG2,000mlとsennosideとmetoclopramideを併用する方法(PEG併用法)を考案しPEG単独での前処置(PEG単独法)との比較によりその有用性を検討した.対象はpolypectomy目的にて入院した20名であり1週間隔で両方法による前処置を行った.腸管清浄効果はPEG併用法とPEG単独法はほぼ同等であったが,Brown変法に比し著明に優れていた.腸管残存水分量はBrown変法,PEG併用法,PEG単独法の順に少なかった.総服用量はPEG単独法の2,610m1に対してPEG併用法は2,000m1と有意に少なく,服用終了までの時間もPEG単独法の167分に対してPEG併用法は120分と有意に短かった.また,PEG併用法はPEG単独法に比し初回排便までの時間は有意に短く,2時間までの排便回数は有意に多かったが,これはsennoside,metoclopramide併用の効果と考えられた.以上より,PEG併用法は清浄効果に優れ残存水分も観察や挿入をさまたげるほど多くなく,しかもPEG服用量も2,000mlという少ない一定量に定められるため,患者の受容性もよく自宅での服用も可能であり大腸内視鏡検査の前処置として十分有用であると考えられた.