日本消化器内視鏡学会雑誌
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Flow cytometryによる胃癌細胞核DNA量の測定
―内視鏡下生検材料を用いて―
中村 昌弘
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1990 年 32 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

 ヒト胃癌52例(早期癌30例,進行癌22例),異型上皮8例,腸上皮化生11例について内視鏡下生検材料を用い,flow cytometryにより細胞核DNA量を測定した.同時に健常部粘膜および末梢血リンパ球の核DNAも測定し,DNA indexを算出した.また,手術を行った症例では摘出標本からも採取し比較検討した.病変部組織では核DNA量が有意に増加しており,Index A(健常組織/リンパ球)とIndex B(病変部組織/リンパ球)の間には有意な差を認めた.胃癌症例で73%,ATPで50%,腸上皮化生では55%にaneuploidyを認め,このaneuploidyの出現率は,早期胃癌に比べ進行胃癌で,組織型では高分化型腺癌で高かった.手術症例についてみると,病期の進行と相関がみられた.以上のことより生検材料を用い,核DNA量を測定することによりprospectiveに癌細胞の生物学的特性を知ることができると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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