日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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胃腺腫の背景粘膜とその臨床経過に関する検討
―胃癌発生のhigh risk groupの可能性について―
春間 賢隅井 浩治小笠原 秀和木村 学森川 章彦吉原 正治今西 幸市梶山 梧朗田原 榮一藤堂 祐子日高 徹国田 俊郎
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1990 年 32 巻 1 号 p. 20-28_1

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抄録

 胃酸分泌,血清ガストリン値及び血清ペプシノーゲンI(以下PGI)値から胃腺腫の背景粘膜を検討し,同年代の健常人と比較して,胃腺腫は高度の萎縮性胃炎を伴っていることを機能面から明らかにした.また,61例の胃腺腫を内視鏡検査で経過観察した結果,8例の胃癌と1例の胃腺腫を他部位に発見し,これらの成績から,胃腺腫は胃癌発生のhigh risk groupと考えられた.さらに,胃癌と胃腺腫を合併した9例のうち8例についても血清PGI値を測定したが,7例(87.5%)が著しい低値を示したことより,血清PGI値は,萎縮性胃炎の診断とともに,これを基盤に発生する胃癌のhigh risk groupをスクリーニングする簡易なマーカーとなりうることを明らかにした.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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