日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による胃筋原性腫瘍の良悪性鑑別
橋本 洋光永 篤中尾 京子千葉 素子加藤 明春木 宏介横山 聡村田 洋子鈴木 茂黒川 きみえ小幡 裕竹本 忠良
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1990 年 32 巻 11 号 p. 2562-2569

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抄録

 超音波内視鏡像(以下EUS)により胃筋原性腫瘍の良悪性鑑別診断を試みた.特に腫瘍径5.0cm以下の平滑筋肉腫と平滑筋腫のEUS像の相違点を検討した.対象はいずれも当センターにてEUS施行後,手術摘出された12例で腫瘍径により次のように分類した.A群:腫瘍径5.0cm以下の平滑筋腫(LM)5例.B群:腫瘍径5.0cm以下の平滑筋肉腫(LS)3例.C群:腫瘍径5.0cm以上のLS3例,LM1例.エコー像は辺縁エコー像の整不整,腫瘍内部エコー像の整不整,内部の低エコー域の有無,さらに分葉像の有無を検討した.その結果C群では低エコー域と分葉像は全例に,辺縁の不整は不明例1例を除き全例に,内部エコーの不整は1例に認めた.A群では辺縁不整,内部エコーの不整例各1例を認めた.B群では辺縁の不整は全例で内部エコーの不整と分葉像は2例で,低エコー域は1例で認めた.エコー像と病理組織像とを対比すると辺縁エコー不整例のうち4例は2つの分葉の境界部の奨膜が内側へひきつれて描出されたものであり,低エコー域は壊死組織あるいはそれらの吸収された後の嚢胞様の組織であった.内部エコーの不整は小域死組織,分葉の間質を示している例各1例を認めた.以上より腫瘍径5.0cm以下の症例でもLS例ではLM例に比較してこれら4つの所見を認める例が多く,とくに2つ以上認める例はいずれも平滑筋肉腫であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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