日本消化器内視鏡学会雑誌
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電子内視鏡とファイバースコープによる大腸ポリープ発見率の比較検討
岸田 輝幸南 定山門 進玉川 恭士田口 文彦吉田 豊小林 正文野村 武夫
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1990 年 32 巻 11 号 p. 2577-2584

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抄録

 ファイバースコープ(FCSL50,町田製作所,以下FCS群)と電子内視鏡(TCE50L,東芝,以下TCE群)による大腸ポリープ発見率の比較を行った.total colonoscopy施行例はFCS群1,182例,TCE群730例,ポリープ症例はそれぞれ193例(16.3%),199例(27.3%)で,ポリープ発見率はTCE群の方が有意に高かった(P<0.005).ポリープの数はFCS群324個(1.7個/例),TCE群532個(2.7個/例)であった.ポリープの占拠部位はTCE群の方が横行結腸(18.0%vs.10.2%),下行結腸(13.2%vs.10.5%)で高く,S状結腸(35.5%vs.45.7%)で低く,ポリープの数についても同様の成績であった.大きさ別の比較ではTCE群で10mm以下,特に5mm以下の割合が高く(54.5%vs.46.9%),また,ポリープの数は著増していた.大腸各部位における大きさ別の比較ではTCE群で5mm以下の直腸ポリープの割合が明らかに高かった(73.5%vs.58.7%)が,その他の部位では差はみられなかった.10mm以下のポリープの数はどの部位でもTCE群で明らかに多かった. 以上より,電子内視鏡は大腸ポリープの拾い上げ診断上有用と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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