1990 年 32 巻 11 号 p. 2591-2597_1
幽門側胃切除術後の18例(ビルロートI法10例,ビルロートII法8例)を対象として胆汁逆流性胃炎の内視鏡的,組織学的検討を行うとともに,胃液内胆汁酸組成の分析を行った.6例についてはウルソデオキシコール酸(UDCA)を4週間以上投与し,その変化についても検討した.逆流性胃炎の内視鏡所見はビルロートI法よりビルロートII法において胃炎の程度は強く,組織学的にも同様の傾向であった.胃液内胆汁酸組成では,ビルロートII法でケノデオキシコール酸(CDCA)の比率がビルロートI法に比べ高率であった.UDCA投与によって6例中4例に自覚症状の改善が,内視鏡所見では全例に改善が認められ,胃液内の胆汁酸組成の変化ではUDCAの比率の著明な上昇とCDCAの比率の減少が認められた.以上より,UDCAは胆汁逆流性胃炎に有用と考えられた.