日本消化器内視鏡学会雑誌
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多発性大腸腺腫と早期大腸癌を伴ったCronkhite-Canada症候群の1例
堀田 総一樫村 博正斉藤 洋子海老原 次男中原 朗山形 迫小山 捷平武藤 弘福富 久之大菅 俊明伴 慎一中村 恭一
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1990 年 32 巻 11 号 p. 2632-2639

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抄録

 症例は49歳,男性.下痢,味覚異常,脱毛を主訴に当科を受診した.家族歴に特記すべきものなし.入院時身体所見は,爪萎縮を認める他は異常なし.上部消化管内視鏡検査にて,胃のほぼ全域に半球状の小隆起が無数に認められた.生検組織は,嚢胞状拡張を伴う異形成の弱い過形成性腺管で間質の浮腫と細胞浸潤を伴う若年性ポリープ様の所見を呈していた.注腸検査により直腸を除く全大腸に無数の米粒大の隆起が認められた.また,これらの隆起とは明らかに形態の異なる径1cm前後の有茎ないし亜有茎性ポリープが8個認められ,ポリペクトミーを施行した.組織学的に,3個は腺腫,1個(径9mm,亜有茎性)は深達度mの管状腺癌であった.以上より多発性大腸腺腫と早期大腸癌を合併したCronkhite-Canada症候群と診断した.本症候群のポリープは一般に異形成の弱い過形成性ポリープとされ,癌,特に早期癌の合併は文献上極めて稀であるため報告した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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