抄録
胃腺腫および腺腫内癌の確定診断症例55症例(69病巣)を対象として内視鏡的特徴について検討を行った.55症例中13例(23.6%)で他の部位に胃癌を併存し,55症例中9症例(69病巣中9病巣(13 .0%))で腺腫内癌を認めた.内視鏡的特徴について胃内に胃腺腫のみを認める「胃腺腫単独」群,他の部位に胃癌を併存する「胃癌併存胃腺腫」群,胃腺腫病巣の一部に癌巣を認める「腺腫内癌」群の3群に分けて比較した.発生部位,形態,色調は3群で差異を認めなかった.病巣の大きさでみると大きい病変に腺腫内癌が多い傾向を認めたが,9mm以下の胃腺腫でも1病巣に腺腫内癌を認めた.従って,腺腫そのものの内視鏡的形態からは腺腫内癌存在の予測は困難であり,しかも生検診断で腺腫内癌と診断された症例はなく,確定診断には治療もかねた腺腫病巣のポリペクトミーないしstripbiopsyによる切除が必要と考えられた.一方胃腺腫病巣の多発する症例は全部で9例であったが,そのうち4例(44.4%)では他部位に胃癌を併存し,3例(33 .3%)で腺腫内癌を認めた.胃腺腫の多発する症例は単発のものに比べ胃癌との関連がより深いことが推察され,その管理には一層注意を要すると考えられた.