抄録
自験の原発性十二指腸癌7例,乳頭部癌20例について両者の年齢・性,症状,内視鏡的形態,組織型,大きさ,予後について比較,検討を行った.内視鏡的形態では原発性十二指腸癌では限局潰瘍型が,乳頭部癌では腫瘤型が多く,潰瘍形成の有無で両者を比較すると有意差がみられた.また,年齢・性では差がなかったが,症状,大きさ,予後で有意ではないものの差がみられ,これは乳頭部癌では黄疸が出現しやすく,より早期に発見されるためと思われた.一方,組織型では両者とも高分化型腺癌が多かったが,その中でも原発性十二指腸癌では高分化型管状腺癌が,乳頭部癌では乳頭状腺癌が最も多く,これは両者の発生母地の違いを示唆している可能性も推定された.