日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃平滑筋芽細胞腫の1例
―超音波内視鏡所見の文献的考察―
梶山 徹辻 康平松林 祐司高鍬 博小林 裕子山本 富一洲崎 剛羽白 清松末 智兼松 雄象
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1990 年 32 巻 8 号 p. 1941-1953

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抄録

 症例は60歳男性で,胃内視鏡検査にて胃角部大彎に粘膜下腫瘍を指摘され入院となった.超音波内視鏡(EUS)では,胃壁第4層に連続する径10mmの境界明瞭な低エコー腫瘤に隣接して,径28mmのやや高エコーで内部に嚢胞状病変を有する類円形腫瘤像がみられた.EUS上低エコーに描出された部分は平滑筋腫類似の紡錘形細胞がみられたが,やや高エコーに描出された壁外性腫瘤部は上皮細胞類似の類円形細胞により構成されており平滑筋芽細胞腫と診断した.自験例を加えた本邦報告125例の文献的検討でも,平滑筋芽細胞腫は固有筋層由来で,出血・壊死・嚢胞形成のいずれかを69%に認めており,74.2%に平滑筋腫様部分が併存していた. 従ってEUSにて描出される粘膜下腫瘍のうち,胃壁第4層由来で,低エコー部とやや高エコーの部分が併存し,内部に嚢胞状病変がみられる症例は,平滑筋腫瘍の中でも平滑筋芽細胞腫である可能性が高いと考える.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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