抄録
症例は59歳,男性,吐血で入院し緊急内視鏡にて門歯列より33cmに1.5cm弱の表在陥凹型食道癌を認めた.輸血,止血剤,H2プロッカーで治療し2週間後内視鏡を再検したところ同部位に表在隆起型食道癌を認め,更に胃噴門部前壁に1.5×2.0cmのIIc型早期胃癌が存在していた.19.8Gy全食道術前照射後手術され,病理診断は食道癌については1.2×1.0cm, squamous cell carcinoma, mod. diff., sm, ie(-), 1y(-), v(-), LN meta(-),一方胃癌については1.5×2.0cm, tubular adenocarcinoma(tub1),INFα,sm,1yO,vO,intestinaltype,ow(-),aw(-),LNmeta(-)であった.病理標本では,食道癌病巣直下に著明な炎症細胞浸潤を認めた. 本例は吐血を契機に発見された早期食道癌(R一早期)で同時性早期胃癌を重複し,更に経過中食道癌が陥凹型から隆起型に変化した極めて稀な症例と考えられたので報告した.