日本消化器内視鏡学会雑誌
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早期胃癌を合併した十二指腸球部早期癌の1例
今津 純夫坂井 徹原 忠之高平 敏一芝田 行徳佐伯 英司佐藤 克明三上 肇内沢 政英山口 修史升田 和比古河内 秀希原 隆志杉原 保平尾 雅紀
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1990 年 32 巻 8 号 p. 1975-1985_1

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抄録
 早期胃癌と十二指腸球部早期癌の合併例を経験したので報告する. 症例は61歳,男性.検診で胃の隆起性病変を疑われ,近医で十二指腸球部の隆起性病変と胃潰瘍を指摘された.精査のため当院に入院した.両者とも生検でGroup Vの結果を得,胃亜全摘術十二指腸部分切除術を施行した.前者は表面平滑で浅い陥凹を伴ったIIa様の所見を呈し,高分化型管状腺癌,6×5mm,m,後者は高分化型管状腺癌,IIc ul+,7×6mm,mでリンパ節転移は認めなかった.患者は術後1年6カ月経過したが再発の徴候もなく,健在である. 十二指腸早期癌は比較的まれであり,本例は本邦報告例中94例目で,早期胃癌との重複例としては3例目ときわめてめずらしい.しかし,上部消化管内視鏡検査の普及にともない,今後報告例は増加すると思われ,上部消化管の内視鏡検査にあたっては,常に下行脚まで注意深く観察することが望ましい.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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