日本消化器内視鏡学会雑誌
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形成過程を観察し得たDouble Pylorusの1例
重松 忠松本 高士稲葉 亨米田 充山上 正仁岡森 博史鳥居 幸雄小野 紀弘
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1991 年 33 巻 2 号 p. 326-330_1

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抄録
Double Pylorusは稀な疾患であるが,近年では上部消化管の内視鏡およびX線検査の進歩に伴い報告例は増加傾向にある.今回われわれは胃潰瘍の穿通により形成されたDouble Pylorusの1例を経験した.症例は70歳の男性,下肢神経痛に対して消炎鎮痛剤を服用中,幽門前庭部後壁大讐に胃潰瘍を併発.抗潰瘍療法を行うも難治性であり,十二指腸球部への穿通を来しDouble Pylorusを形成した経過を観察し得た.Double Pylorusの形成後,約3年間経過観察したが,その形態の変化および新たな潰瘍の合併は認められなかった.本症はDouble Pylorusの成因を知る上で貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加え報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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