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―胃粘膜下腫瘍の数量鑑別診断―
橋本 洋, 斉藤 恵一, 中尾 京子, 千葉 素子, 加藤 明, 春木 宏介, 光永 篤, 村田 洋子, 鈴木 茂, 内山 明彦, 黒川 き ...
1991 年 33 巻 2 号 p.
235-242
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃癌,胃潰瘍症例の超音波内視鏡(以下EUS)像のテクスチャー解析による数量的鑑別診断はすでに報告した.本稿では胃粘膜下腫瘍(平滑筋腫(LM):4例,迷入膵(AP):3例,悪性リンパ腫(ML):2例)の各疾患群間の数量的鑑別診断を行った.これらは生検診断した迷入膵2例,悪性リンパ腫1例以外は手術施行例である.EUS施行時に装置の条件を一定にし,ラジアル型を使用した.プローブと病変との距離を2.5cmとし,病変内にコンピューター処理に用いる関心領域(ROI)を10個ずつ画面の0時,6時,9時方向に設定した.それらについて濃度差統計法の8つの統計量を計算した.分散分析にて検定し,4つの統計量で3つの疾患群相互間に有意差を生じた.これは,内部エコーの相違が各疾患で有意差を示し,数量的に鑑別可能であることを表しており,テクスチュー解析のEUS像における定量的鑑別診断への有用性が示唆された.
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遠藤 正章, 森田 隆幸, 羽田 隆吉, 井上 茂章, 鈴木 英登士, 佐々木 睦男, 杉山 譲, 小野 慶一, 棟方 昭博, 白戸 千之
1991 年 33 巻 2 号 p.
243-256
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
超音波内視鏡(EUS)による胆管癌の進展度診断について検討し,以下の結果を得た.1)切除胆管壁の検討では胆管壁はEUS上,粘膜側から高・低・高の3層構造として描出され,この異常に着目することにより進展度診断の可能なことを確認した.2)腫瘍描出率は89%(16/18)であった.3)16例を対象とした深達度診断では1群(m,fm,af)50%,II群(ss,se)86%,全体で81%の成績であった.III群(si)に該当する症例はなかった.4)水平浸潤の診断では肝側75%,十二指腸側69%でその有無を診断し得た.5)周囲組織・臓器浸潤,転移の診断も可能で,その診断率は漿膜浸潤(s)78%,肝浸潤(hinf)0%,胆嚢浸潤(ginf)75%,膵臓浸潤(panc)100%,十二指腸浸潤(d)100%,門脈浸潤(vs(Vp))60%,肝動脈浸潤(vs(Ah))25%,肝転移(h)50%,リンパ節腫大(n)94%であった.以上のようにEUSは胆管およびその周囲の描出能に優れ,胆管癌の深達度,水平浸潤,他臓器浸潤の診断法として極めて有用と思われた.
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原田 康司, 南雲 久美子, 山崎 忠男, 野ツ俣 和夫, 伊藤 慎芳, 土谷 春仁, 桜井 幸弘, 池上 文詔, 多賀須 幸男
1991 年 33 巻 2 号 p.
257-263
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
上部消化管粘膜には,細血管が限局性に集籏拡張したAngiodysplasiaがときどき見られる.2年間に施行したPanendoscopy延べ10,163例で認め/れたAngiodysplasia230例を対象に検討した. その頻度は2.26~3.98%,男性に有意に多く,加齢とともに頻度は増加する.単発81.3%,多発18.7%であった.少数が食道・十二指腸に存在したが,98%は胃にあり,胃A・M領域に多くC領域に少ない.血液のstealによると思われる白暈を周辺に持つ「日の丸型」は43.4%,持たない「赤丸型」は56.6%であった. 顕出血例はなく,出血の危険は少ないと思われる.特定の疾患との関連は確認出来なかった.Angiodysplasiaと紛らわしい形態の早期胃癌2例に遭遇した.
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東 正祥, 柏木 徹, 大川 和良, 内藤 雅文, 平松 直樹, 金 国源, 井川 宣, 松田 裕之, 藤田 峻作, 満谷 夏樹, 小泉 岳 ...
1991 年 33 巻 2 号 p.
265-271
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝硬変33例を対象に内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)前後における門脈側副血行路の変化を血液プールSingle Photon Emission CT (SPECT), Scintiphotosplenoportography(SSP)あるいは経直腸門脈シンチグラフィ(TRP)を用いて検討した.SPECTによる検討ではEIS施行前に29例中26例にcoronary veinが描出され,short gastric vein, spleno(gastro)-renal shunt, paraumbilical veinがそれぞれ4例描出された.EIS後にはcoronary veinが描出された26例中16例に,またshort gastric veinが描出された4例中2例に血液プールの消失あるいは減少がみられた.さらに,3例でEIS後にspleno-renal shuntあるいはparaumbilicalveinのイメージが明瞭化した.SSPによる検討ではEIS前に13例中12例にcoronary veinが描出され,うち9例はEIS後に消失し,2例で描出の程度が減少した.shunt indexは8例全例でEIS後に低下した.経直腸門脈シンチグラフィによる検討ではEIS前後のshunt indexの変化に一定の傾向を認めなかった.以上から,EIS後の食道静脈瘤の経過観察に際し,門脈側副血行路の変化を非侵襲的に観察しえる方法としてSPECT,SSPは有用な方法であると考えられた.
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増田 幹生, 丸山 正隆, 藤田 善幸
1991 年 33 巻 2 号 p.
272-277_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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われわれは虚血性心疾患を理由に外科的手術不能であった食道表在癌2例に対して内視鏡的粘膜切除を行い経過を観察したので報告する.症例1は73歳男性で食道下部の8×7mm大のIIc様の表在陥凹型であった.2チャンネル処置用ファイバースコープ(Olympus社製GIFtype2T,2T10)を用いた内視鏡的粘膜切除術を行い,術中術後に合併症は認めなかった.術後18カ月後も局所再発は認めていないが,他部位にdysplasiaが生じている. 症例2は81歳男性で食道上部の15mm大のIIa+IIb型の表在隆起型であり,内視鏡的切除を行った.切除4カ月後の内視鏡で疲痕近傍に別個の表在癌を認め,始めの治療より7カ月後にこの病変に対しても内視鏡的切除を行い,その後7カ月が経過したが局所再発は認めていない. 以上より食道表在癌の治療に内視鏡的粘膜切除術は有効な治療法と考え報告する.
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―本邦64例の分析―
石川 直人, 神戸 光, 坂本 英典, 児玉 健二, 吉田 隆亮, 井上 輝彦, 河野 正
1991 年 33 巻 2 号 p.
278-285
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は83歳女性.平成元年7月より嚥下困難を覚え,次第に増強するため8月初旬近医を受診.上部消化管造影にて食道中部の隆起性病変を指摘され,精査目的のため当院へ入院した.入院後上部消化管造影,内視鏡検査を施行し,生検組織検査により平滑筋肉腫を疑い,腫瘤上端の経内視鏡的部分切除を行い,病理組織学的に平滑筋肉腫と確診した.他に異常所見を認めず,本症例は食道原発性平滑筋肉腫と診断した.手術,更にX線照射療法も拒否されたため経内視鏡的切除を試みるも不成功に終わった.入院後の食道X線検査では腫瘤は急速に増大し,そのDoubling timeは0.64カ月と算定された.併せて,現在まで本邦で報告された食道原発1生平滑筋肉腫64例の分析結果を述べた.
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松本 利彦, 松本 文子, 羽間 弘, 何 国彦, 橋本 稔宏, 飯田 都, 西村 俊夫, 仲野 俊成, 水野 孝子
1991 年 33 巻 2 号 p.
286-290_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は61歳女性.心窩部痛を来し,消化管内視鏡検査を施行.胃角部小轡に良性潰瘍があり,再検時,頸部食道に扁平な類円形病巣を認め,生検組織診で異所性胃粘膜と診断された.悪性所見はなかったが,病巣の細胞核DNAの検討から生物学的悪性度の高いことが示唆された.わが国では頸部食道異所性胃粘膜島は比較的稀とされているが,本症からの癌発生例の報告もあり,自験例での検討とも併せ,慎重な経過観察が重要と考える.
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長尾 和宏, 篠村 恭久, 東本 好文, 安永 祐一, 宮崎 義司, 金山 周次, 石川 秀樹, 藪 道弘, 垂井 清一郎
1991 年 33 巻 2 号 p.
291-298_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
10カ月の経過観察中に自然消失した胃底腺ポリポージスの1例を経験した.症例は53歳女性.検診時,胃X線検査で胃体部を中心に分布する計30~40個の直径5~6mm大,山田II型のポリープを指摘された.組織学的にポリープの構成主体は胃底腺であり,背景粘膜に萎縮を認めないことより胃底腺ポリポージスと診断した.しかし10カ月後の胃X線検査にて,多発性ポリープはほぼ完全に消失しており,胃体部粘膜の生検組織像は著明な細胞浸潤を伴った胃底腺の萎縮と変性を呈していた.また,酸分泌能の低下と高ガストリン血症が認められた. 胃底腺ポリポージスの自然消失に関する報告例は少なく,ポリープ消失前後の胃粘膜像もほとんど検討されておらず,消失機序は不明である.ポリープ消失前後における背景粘膜像の比較検討より,本例のポリープは,短期間に進展した胃体部を中心とする萎縮性胃炎に伴って消失したと考えられた.
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山西 徹治, 西岡 新吾, 奥 篤, 坂辻 喜久一, 宮本 克之, 安村 政芳, 和田 光平, 中山 恒夫, 矢高 勲
1991 年 33 巻 2 号 p.
299-303_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は76歳男性,農業.右季肋部痛を主訴として入院した.腹部エコー,経皮経肝胆道造影で総胆管拡張と末端部に径15mm大の結石を認めた.十二指腸X線では下行脚内側に60×45mm大の憩室を認め,内視鏡検査により憩室内に赤色糸状の虫体2匹を認め,鉗子を用いて採取し,その形態からアメリカ鉤虫と診断した.ピランテル・パモエート1,000mg2回投与にて糞便虫卵が陰1生化した後,総胆管結石摘出,胆嚢摘出術を施行した.
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工藤 欣邦, 谷口 友章, 松永 研一, 西宮 実, 藤岡 利生, 那須 勝, 御手洗 義信, 吉山 一浩
1991 年 33 巻 2 号 p.
304-311
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸静脈瘤破裂の1例を経験した.本症例に対し,内視鏡的硬化療法及び経皮経肝静脈瘤塞栓術を行うも止血し得ず,緊急開腹手術施行,血行郭清及び静脈瘤結紮術を行った.十二指腸静脈瘤は完全に止血し得たが,術後食道静脈瘤破裂のため死亡した.十二指腸静脈瘤破裂は既報告例の検討では,保存的に治療された症例の多くは再出血を来たしており予後も悪く,当初より外科的治療を検討すべきであると考えられた.
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林 伸行, 遠藤 茂夫, 林 隆一, 岡田 孝之, 新美 忠勝, 小森 保生, 森瀬 公友, 木村 昌之, 堀内 洋
1991 年 33 巻 2 号 p.
312-316_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は83歳の男性で,上腹部痛にて受診,US,CTにて膵頭部に壁の厚い嚢胞性病変があり,ERCPでは乳頭開口部の開大と粘液の排出を認めた.PTCDを行ったところ,チューブ先端が嚢胞内に挿入され,痩孔の存在が明らかとなった.痩孔を拡大後,胆道ファイバースコープを使用し,嚢胞内の観察を行った.嚢胞内面は小腸の絨毛様の外観を有する小突起により被われていた.内視鏡下の生検により膵嚢胞腺癌と診断された.
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内田 潔, 木村 昌之, 神谷 順一, 森瀬 公友
1991 年 33 巻 2 号 p.
317-325
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
総胆管結石に急性膵炎を合併した患者に対し,PTCS下に総胆管結石切石後,胆道鏡を主膵管内に挿入し膵管内に迷入した胆石を除去し得た1例を報告した.成分分析では,総胆管結石と同様の成分からなるビリルビンカルシウム石であり,総胆管結石が膵管内に迷入したものと考えられた.膵管内結石摘出後は血清アミラーゼは上昇せず,本例では胆石膵炎の発症機序の一因として,主膵管内へ迷入した結石の関与が推測された.
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重松 忠, 松本 高士, 稲葉 亨, 米田 充, 山上 正仁, 岡森 博史, 鳥居 幸雄, 小野 紀弘
1991 年 33 巻 2 号 p.
326-330_1
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Double Pylorusは稀な疾患であるが,近年では上部消化管の内視鏡およびX線検査の進歩に伴い報告例は増加傾向にある.今回われわれは胃潰瘍の穿通により形成されたDouble Pylorusの1例を経験した.症例は70歳の男性,下肢神経痛に対して消炎鎮痛剤を服用中,幽門前庭部後壁大讐に胃潰瘍を併発.抗潰瘍療法を行うも難治性であり,十二指腸球部への穿通を来しDouble Pylorusを形成した経過を観察し得た.Double Pylorusの形成後,約3年間経過観察したが,その形態の変化および新たな潰瘍の合併は認められなかった.本症はDouble Pylorusの成因を知る上で貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加え報告する.
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高木 均, 桜井 誠司, 高橋 仁公, 植原 政弘, 高山 尚, 下田 隆也, 山田 昇司, 飯塚 春太郎, 小林 節雄
1991 年 33 巻 2 号 p.
331-337
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃浸潤を呈した進行肝癌の1例を報告した.症例は62歳男性.上腹部の張りを訴えて初診し,AFP高値,画像診断より肝細胞癌と診断した.治療前の上部消化管内視鏡検査で前底部のBorrmann III型胃癌類似の所見がみられ,生検組織では腺癌であり,生前は二重癌との診断であったが,剖検により肝癌の胃転移であった.原発巣への治療として施行したAdriamycin(ADM)-lipiodolの動注,TAEによって胃腫瘍も縮小し,生検上癌細胞は消失し良性潰瘍の疲痕のごとくに消褪し,それらの変化が内視鏡的に経過観察された.死因は肝癌の増大から肝不全を来したことによるが,転移は胃幽門部からVater乳頭近くに及び,他膵頭部から胆管周囲にも浸潤しており肝は閉塞性黄疸を呈していた.胃粘膜へ肝細胞癌が浸潤増殖する例は稀で,かつ原発巣の治療により,胃粘膜面の転移腫瘍が改善し,それが内視鏡的に観察された報告はなく,希少な例と思われた.
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 2 号 p.
339-353
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 2 号 p.
353-399
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 2 号 p.
400-426
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 2 号 p.
426-446
発行日: 1991/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー