抄録
内視鏡的食道粘膜切除術(EMRT)により形成された人工潰瘍の治癒過程を検討した. 雑種成犬の組織学的検討では,直後に,固有筋層の表面が薄い結合織の膜を残しつつ露出し,実験2日後(POD)には,潰瘍底は炎症細胞浸潤を伴う壊死物質に被われた.6PODには,薄い再生上皮が潰瘍周辺部より潰瘍底を被うように増殖し始め,14PODまでに,潰瘍底は重層扁平上皮に均一に被覆された. 臨床例の内視鏡による経過観察では,直後には固有筋層の表面(non-bleeding resection layer)が均一に露出していたが,翌日にはすでに潰瘍底は薄い白苔に被われはじめ,3PODには白苔は厚みを増した.5PODには潰瘍辺縁に発赤した再生上皮を認め,7PODには潰瘍は縮小傾向を示した.10PODには潰瘍底はルゴール液に染色される組織に被われ,潰瘍辺縁部にはリング状の毛羽様のルゴール不染部を認めた.21PODまでに線状の潰瘍瘢痕となり治癒過程を完了した.