日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による胃神経鞘腫の検討
上杉 秀永幾世橋 篤佐野 秀弥酒井 辰彦高木 精一及川 裕望木田 光広西元寺 克禮
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1992 年 34 巻 10 号 p. 2322-2331

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抄録

 今回われわれは,超音波内視鏡(EUS)を施行した胃神経鞘腫のEUS像につき検討を行った.対象は,当センターで術前にEUSを施行し,手術により切除され,病理組織学的診断がなされた胃神経鞘腫4例(良性3例,悪性1例)である.年齢は29歳から78歳,平均48歳,男女比は2:2であった.主訴は心窩部痛2例,食欲不振1例で人間ドックで異常を指摘されたものが1例であった.占拠部位は胃癌取扱い規約に準ずるとC領域1例,M領域3例で,腫瘍最大径は1.5cmから4.0cm大であった.胃神経鞘腫のEUS所見は,腫瘍は良性の3例は類円形,悪性の1例は結節分葉状の形態を呈しており,胃壁第4層と一部連続していた.エコーレベルは全例,消化管第2および第4層と同等の低エコーであった.内部エコーは,良性は比較的均一であったが,悪性は比較的不均一であった.また他の疾患との鑑別診断上問題となるのは筋原性腫瘍で,現時点においてその鑑別は困難と考えられた.

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