日本消化器内視鏡学会雑誌
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HCV抗体陽性の肝硬変症の腹腔鏡所見の特徴
―特に溝状陥凹について―
小畠 敏嗣平川 弘泰島田 宜浩
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1992 年 34 巻 10 号 p. 2332-2339_1

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抄録

 C型肝疾患の持つ溝状陥凹が肝硬変の形態そのものに及ぼす影響について,その出現部位,出現頻度および出現時期から検討した.溝状陥凹は赤色紋理(RM)と同様に肝葉の末端部,すなわち,Cantlie線上,左葉内側,左葉外側および右葉外側の4カ所に出現した.出現頻度は,Cantlie線上が最高率で,左葉内側がこれに続き,左葉外側,右葉外側の順に低率となった.溝状陥凹の出現時期は,腹腔鏡番地分類200番地の症例(慢性肝炎の時期)でRM(出現率;13.7%)が,溝状陥凹(出現率;7.6%)より,高率に出現するが,300番地(前硬変の時期)に進展するとRM(40.7%)と溝状陥凹(55.6%)はともに高率となり,400番地(RM;45.7%,溝状陥凹;52.2%),500番地(RM;22.2%,溝状陥凹;66.7%)へと,溝状陥凹の出現は順次高率となった.この結果,C型肝硬変は全体に歪んだ形態を持つようになるが,肝葉の末端部以外の場所における,活動性病変は軽微であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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