日本消化器内視鏡学会雑誌
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HIV感染に合併した食道潰瘍7症例の検討
山田 義也門馬 久美子榊 信廣伊沢 友明田島 強根岸 昌功増田 剛太吉田 操前田 義治
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1992 年 34 巻 10 号 p. 2340-2345

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抄録

 当院に入院したHIV感染症患者23例に上部消化管内視鏡検査を施行し,7例30%(AIDS発症4例,ARC2例,未発症1例)に,特徴的な潰瘍を認めた.潰瘍は中部から下部食道にあり,長径2cm以上の大きいもの6例,2mm程度の小さいもの1例であった.巨大な潰瘍の6例中4例は,病巣周囲にほとんど隆起のない打ち抜き型の潰瘍であり,病巣周囲に隆起を認めたものは1例,他の1例は全周性であった.巨大潰瘍6例中5例で,生検または剖検よりCMVが検出された.小潰瘍は,病巣周囲にわずかな隆起を伴う,類円形の潰瘍であった.自験例における食道潰瘍の発生頻度は,欧米の報告に比較して高い傾向が認められ,注目された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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