1992 年 34 巻 10 号 p. 2354-2360_1
症例は15歳女性.心窩部痛を主訴として来院した.胃体上部後壁に山田III型の隆起性病変を認め,通常の内視鏡検査と粘膜下造影では粘膜下腫瘍を疑わせる所見であったが,超音波内視鏡検査では上皮性の病変と考えられる所見であった.内視鏡的ポリペクトミーを施行した.摘出標本の大きさは10×9×8mmであった.病理組織学的検索では,腫瘤頂上部の粘膜筋板は断裂し,粘膜上皮より連続した腺管が粘膜筋板を越えて粘膜下層に陥入し,粘膜下層に集簇した異所性腺管を認め,若年者の胃粘膜下異所腺と診断した.