1992 年 34 巻 10 号 p. 2387-2390_1
早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術として,1989年より透明チューブを用いる方法(EMRT)を実施してきた.その経験に基づき今回,さらに簡便な方法として,"透明プラスチックキャップを用いた内視鏡的食道粘膜切除術Endoscopic esophageal mucosal resection using a cap-fitted endoscope (EMRC)"を新たに考案し臨床応用した.現在まで4症例6病変に実施しているが,いずれも咽頭麻酔下に,1回の切除で長径約2cm,食道壁の1/4周の標本の獲得が可能であった.所用時間はすべて30分以内であった.いずれも固有筋層の表面が均一に露出し,出血,穿孔などの特記すべき合併症がなく,術後経過もEMRTと同様に順調であった.EMRCは手技が簡便ながら,EMRTと同様の成果を挙げることができる有用な方法と考えられる.