日本消化器内視鏡学会雑誌
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薬剤性食道潰瘍の臨床的検討
赤木 博伊勢谷 和史小笠原 宏行高顕 純平辻 秀治古谷 慎一佐藤 達之福田 新一郎堀井 良侑児玉 正加嶋 敬
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1992 年 34 巻 2 号 p. 372-379

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抄録

 近年panendoscopeの普及により積極的に内視鏡検査が行われるようになり,従来比較的稀な疾患と考えられていた薬剤性食道潰瘍の報告例が増加している.現在までに当院において食道に潰瘍を認め,原因が薬剤性と判断したのは16例であり,男性8例,女性8例で,年齢は16歳から79歳まで,平均年齢48歳であった.原因薬剤は抗生剤11例,消炎鎮痛剤3例,塩化カリウム1例,鉄剤1例であった.全例胸やけ,胸骨後部痛が存在し,吐血は2例にみられた.16例中8例は就寝前に,7例は水なしで,2例は臥位にて薬剤を服用していた.潰瘍部位は中部9例,下部7例,潰瘍数は単発11例,多発5例であった.臨床経過は良好であったが,食道裂孔ヘルニア合併例は非合併例と比べて難治傾向にあった.また,LES圧や下部食道一次蠕動波高の低下などの食道機能異常が治癒遷延の一因と考えられた症例もあった.

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