抄録
症例は57歳女性.49歳の時僧帽弁弁膜症で手術を受け経過良好であったが,再び労作時呼吸困難が増強したため昭和58年5月入院.入院後上腹部痛があり腹部エコーを行ったところ総胆管の紡錘状拡張を認めた.ERCPを行うも乳頭は憩室内開口のため同定できず胆道造影は施行できなかった.しかし胃内観察時前庭部前壁に粘膜下腫瘍様の隆起病変を認め同部の生検で腺癌を検出した.手術を行い胆嚢癌の胃浸潤と診断し,胆嚢摘出,胃部分切除および総胆管嚢腫切除を行った.術中胆道造影では膵胆管合流異常を認めた.本症例は膵胆管合流異常を伴った先天性胆道拡張症で,胃浸潤病巣を契機に胆嚢癌の合併を発見された極めて稀な症例であり報告した.