日本消化器内視鏡学会雑誌
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組織学的に術前診断しえた虫垂粘液嚢胞腺腫の2例
土田 研司金森 俊成谷 智満奥村 文美典山田 義明重康 敏明物江 孝司大野 恒夫永原 鉱二伊藤 誠武内 俊彦
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1993 年 35 巻 4 号 p. 778-784_1

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抄録
 術前生検で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断しえた2例を経験した.症例は84歳の女性と61歳の男性でともに腹部症状はなく大腸内視鏡検査,腹部超音波検査,腹部CT検査により虫垂粘液嚢腫と診断した.質的診断を得るために大腸内視鏡下でマイクロ波を用い盲腸と嚢腫の問に瘻孔を作成しそこから第1例では内視鏡を挿入して直視下に,第2例では生検鉗子のみを挿入し盲目的に,嚢腫粘膜を生検した.両例ともに良好な組織標本が得られ粘液嚢胞腺腫と診断でき,治療方針を決定するうえで非常に有用な情報となった.また術後に,穿孔,出血などの重篤な合併症は無く順調に経過し本法は安全な手技と考えられた.したがって,画像的に虫垂粘液嚢胞腺腫か粘液嚢胞腺癌かの鑑別が困難な症例に対しては積極的に本法を行うべきと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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