日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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潰瘍性大腸炎に伴なう虫垂炎の1例
―いわゆる'ulcerative appendicitis'の1例―
斉藤 雅之伊藤 康文吉野 功二杉本 美雪宮本 康二清水 幸雄松波 英一池田 庸子
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1993 年 35 巻 8 号 p. 1879-1887

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抄録
 症例は50歳,男性.注腸検査にて虫垂開口部に小隆起性病変を認め,5カ月後の注腸検査では同隆起は増大し,かつ直腸からS状結腸まで潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)の所見を認めた.内視鏡検査では,同様にS状結腸までUC像を認めるも,それより口側は盲腸まで異常所見はなく,虫垂開口部に表面粘膜にびらん,小潰瘍を伴なう隆起性病変を認め,同部よりの生検組織所見はUCに一致.虫垂・盲腸部分切除術を施行した.虫垂病変はUCと組織学的に診断された.本例はUCにおいて盲腸より一定肛門側に正常粘膜を介し,skip lesionとして虫垂にUC像を認める症例,すなわち,Cohenらの言う'ulcerative appendicitis'に相当する1例であり,本邦において最初の報告である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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