1994 年 36 巻 10 号 p. 1992-1997
症例は54歳,男性.食道胃接合部の小隆起性病変から得た生検標本の組織学的検索で,肉芽組織中に異型に富む大型細胞の増殖を認め,肉腫が強く疑われた.起源同定のために施行された免疫組織学的検索では,この異型細胞はVimentinのみ陽性を示し,他のマーカーはすべて陰性であった.隆起性病変は経過観察により消失し,最終的にpseudosarcomatous granulation(PG)と診断した.PGは本来良性疾患であり,生検診断上誤診しないことが重要である.