日本消化器内視鏡学会雑誌
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胸部上部食道に壁内転移を認めた噴門部胃癌の1例
小池 祥一郎小出 直彦二村 好憲安達 亙金子 源吾黒田 孝井飯田 太藤森 芳史石井 恵子勝山 努
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1998-2003_1

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抄録

胸部上部食道に壁内転移を認めた噴門部胃癌の一例を報告した.症例は75歳の男性で心窩部痛と嚥下困難を訴えて当科を受診した.上部消化管造影および内視鏡検査により噴門部にBorrmann 3型癌,胃体下部にBorrmann 2型,前庭部にIIa型癌を認めた.さらに胸部上部食道に小隆起性病変を認めた.生検の結果,いずれの病変とも腺癌で,食道病変は粘膜下に腺癌の浸潤を認めた.手術は膵体尾部,脾合併切除を伴う胃全摘術と食道抜去術を行った.病理組織学的検索で食道病変はsmに胞巣状のtub2の浸潤を認めた.胃は同時性多発癌で,深達度と脈管侵襲より噴門部胃癌の食道壁内転移と診断された.下部食道に壁内転移を来した症例は5例報告されているが,このように胸部上部食道に壁内転移を来した胃癌の報告はなく,希有例と思われた.

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