日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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化学療法と肝動脈塞栓が有効であった肝転移合併α-fetoprotein産生胃癌の1例
土島 睦川原 弘高瀬 修二郎堤 幹宏上嶋 康洋浦島 左千夫松田 芳郎松能 久雄小西 二三男
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1994 年 36 巻 10 号 p. 2011-2019

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抄録

症例は64歳,男性.主訴は食欲低下と体重減少で,凹凸不整の肝を触知し,α-fetoprotein(AFP)が1,213×103ng/mlと上昇していた.胃体上部前壁にBorrmann2型病変を認め,免疫組織化学的検討からAFP産生胃癌と診断した.肝に広汎な転移巣が認められたので,化学療法と肝動脈塞栓(TAE)を施行したところ,胃原発巣と肝転移巣はともに著明に縮小し,19カ月間生存しえた.AFP産生胃癌に対しては重篤な例でも化学療法やTAEを積極的に試みるべきであると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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