日本消化器内視鏡学会雑誌
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悪性食道狭窄に対するpolyurethane-covered self-expanding metallic stentの評価
宇野 耕治中島 正継安田 健治朗趙 栄済向井 秀一早雲 孝信芦原 亨平野 誠一望月 直美田中 聖人東條 正英塚田 圭子上田 モオセ
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1995 年 37 巻 10 号 p. 2166-2175_1

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抄録

市販のuncovered self-expanding metallic stmt(uncovered SEMS)を用いてポリウレタン膜被覆ステント(polyurethane-covered SEMS)を作製し,5例の悪性食道狭窄で食道内挿管術を行なった.試作のステントは滑らかで強靱な被膜を有しているために挿入が容易であり,全例で何等の合併症もなく目的とした位置への留置が可能であった.ステント留置後に鎮痛剤の投与を要する疼痛を認めたのは1例のみであり,食事の摂取が流動食から5分粥あるいは全粥までに改善された.この被覆ステントによる腫瘍の内腔への増殖防止効果は良好で,18~103日に及ぶ経過観察期間においても内腔の再閉塞は全く生じなかった.後期合併症としては,1例にステントの移動を,他の1例にステントロ側近傍に腫瘍の過剰増殖による狭窄を認めた.本器具はcovered SEMSとして極めて有用であり,悪性食道狭窄に対する挿管術の優れた方法として期待できる.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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