1995 年 37 巻 10 号 p. 2193-2199_1
患者は76歳の男性で,主訴は咳嗽であった.胸部上部食道癌に対し放射線およびlaser治療を行った後に食道気管瘻が発症した.激しい咳嗽がみられたため径2cm,長さ5cmのexpandable metallic stemを2連つなぎ,厚さ0.05mmのシリコン膜を巻いたステントを作成し,病巣部に留置した.留置直後より咳嗽は消失し,全粥の摂取も可能になり,QOLは著明に改善した.外科手術不能の食道気管瘻患者に本ステントは有用性が高いと考えられる.