日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的硬化療法における静脈瘤造影形態に関する検討
鳥羽 昌仁恩田 昌彦田尻 孝増森 興治梅原 松臣山下 精彦金 徳栄吉田 寛真々田 裕宏谷合 信彦西久保 秀紀小嶋 隆行松崎 栄
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1995 年 37 巻 11 号 p. 2416-2420

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抄録
 約10年間に当科で内視鏡的硬化療法(EIS)を施行した食道胃静脈瘤患者100例のうち初回EIS時に血管内注入で静脈瘤造影(EVIS)所見の得られた87例を検討した. EVISの造影形態より,I.通常型,II.瞬時消失型,III.中断型,IV.上行消失型の4型に分類可能であった.この4型に従って87例を検討すると,I型74例(85.E%),II型およびIII型では各々5例(5.7%),IV型3例(3.4%)であった.EVIS分類別にEISの治療効果をみると,1型では有効率93.2%,IV型で66.6%の有効率であるのに対してII型・III型では全例が効果不良あるいは無効であった.以上より,内視鏡的硬化療法を施行するにあたって,静脈瘤造影をすることは静脈瘤局所の血行動態を把握する上で重要な手技であり,しかもわれわれが行った造影形態の分類は,硬化療法の治療効果を予測するうえで有用であると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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