日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡下超音波像からみた経静脈的逆行性静脈瘤塞栓術(B-RTO)治療前後の孤立性胃静脈瘤の変化
―基礎的研究と対比して―
松崎 浩司近藤 栄作片山 雅彦米谷 隆松崎 一江蜂矢 朗彦飯田 和成成木 行彦大塚 幸雄三浦 妙太
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1995 年 37 巻 11 号 p. 2421-2429

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抄録
 1993年3月から1994年8月までに経静脈的逆行性静脈瘤塞栓術(B-RTO)を施行した孤立性胃静脈瘤の4例について,B-RTO前後で細径超音波プローブを用いた内視鏡下超音波(UMP)にて経時的に静脈瘤部位の変化を観察した.B-RTO施行前のUMPでは無エコー管腔像であったが,施行直後よりUMPで静脈瘤内部が一時点状高エコーを示した.その後,管腔径は変化しないかまたはやや縮小しながら,点状高エコー部位の一部またはすべてに無エコー部位の出現を認めた.その後,すべての症例で胃静脈瘤の完全消失を認めた.次に,白兎の耳殻静脈を用い5%EOを血管内に注入し,その後30分間駆血した.その静脈の変化を超音波像および組織像にて経時的に観察した.EO注入直後より無エコー管腔内に点状の高エコー像が出現し,1分後では点状高エコー像が増加した.それ以降3日後までほぼ同様の超音波像を示した.組織像では,注入直後より静脈の内皮細胞は消失し,血管内腔を充満するように凝血塊が存在していた.駆血解除15分後では,血管壁の周囲に浮腫を伴っていた.駆血解除1時間後では,血管内腔を充満する凝血塊に加え壁在性にフィブリンの析出と線維芽細胞の出現を認めた.駆血解除3日後では血管内腔を占める凝血塊の内部にフィブリンの析出と線維芽細胞の出現の軽度増加を認めた.臨床と基礎的研究より5%EO注入後に出現する点状高エコーは,血管内皮障害とそれに伴う血管内の凝血塊出現による変化を反映していると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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