1995 年 37 巻 2 号 p. 349-354_1
腹腔鏡検査でB型慢性肝炎類似のperiportal typeの赤色紋理を認めた若年者非B非C型慢性肝炎の1例を報告する.患者は初診時13歳の女性で,1990年1月感冒様症状で近医を受診し,高度の肝機能異常があるといわれ,当科に紹介され入院した.1回目の腹腔鏡検査で肝表面全体に広がるperiportal typeの赤色紋理を認め,組織学的にもpiecemeal necrosisがあり,慢性肝炎と診断した.1992年5月に肝機能の悪化をみたため当科へ2回目の入院をした.2回目の腹腔鏡検査でも1回目とほぼ同様の所見を呈したが,赤色紋理はより明瞭となり組織学的にも門脈域の線維化および炎症性細胞浸潤が目立った.経過中B型,PCR法によるHCV-RNAを含めたC型肝炎ウイルスマーカーは陰性で,自己抗体も陰性であり非B非C型慢性活動性肝炎と診断した.非B非C型慢性肝炎の腹腔鏡所見については今日なお十分検討されておらず,また若年者の慢性肝炎例でもあり,貴重な症例と考え報告した.