抄録
内視鏡的粘膜切除術後の人工潰瘍を急性潰瘍のモデルとして,その内視鏡的治癒経過における粘膜血流の変動をレーザードップラー法にて検討した.対象は早期胃癌治療目的にて内視鏡的粘膜切除術を施行した19症例(19病変)で,各内視鏡的病期別(A1,H1,S1)に潰瘍辺縁及び辺縁より2cm以上離れた背景粘膜を測定部位とし,粘膜血流の変動を測定した.潰瘍辺縁粘膜血流は潰瘍治癒の進行とともにS1期まで増加し,A1期との間に有意差をみた.背景粘膜血流は有意な変動を示さなかった.また,潰瘍が早期に治癒する群では,治癒が遷延する群に比べH1-stageでの潰瘍辺縁及び背景粘膜血流は有意に高かった. 急性潰瘍治癒過程を粘膜血行動態の視点からみると,治癒期での良好な粘膜血流の供給が,瘢痕期まで維持されることが潰瘍治癒促進の重要なファクターであることが示唆された.