抄録
1992年10月より1993年7月までに食道静脈瘤症例に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を12例に施行し,本法の問題点について検討した. EVL単独治療症例10例中8例は食道胃接合部の直上に静脈瘤が残存し,EVL単独での完全消失は困難であった.経過観察が可能であった8例中3例に再発を認めたことから長期予後には問題があると考えられた.また,Lgが出現した症例を1例経験した.EVLの適応症例として,1)高度の合併疾患を有するためEISが不可能な症例,2)食道壁外シャントを有する症例,3)Child Cの非代償性肝硬変および末期肝癌症例,4)ヨード過敏症を有する症例などが考えられた. 本法は手技が容易で安全且つ有効な治療法ではあるが,静脈瘤の完全消失を目指すためには以上の問題点や適応を十分考慮して治療にあたることが必要であり,内視鏡的硬化療法併用の必要性が示唆される.