日本消化器内視鏡学会雑誌
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悪性胆道狭窄に対する金属ステントによる内瘻化症例の臨床的検討(第2報)
秋山 哲司良沢 昭銘沖田 聡池田 美雪藪下 芳子古井 俊文近藤 哲野口 隆義沖田 極播磨 健三
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1995 年 37 巻 8 号 p. 1621-1629

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抄録
 手術不能悪性胆道狭窄に対してmetallic stent(以下MS)を用いて胆道内瘻術を施行した32症例において,自験のERBD105症例,進行膵癌手術23症例を対照として,その長期経過やplastic stent(以下PS)との開存性の比較,さらに手術症例との予後の比較等について検討した.内瘻術に際しての合併症は経験しなかった.後期合併症として,cloggingによる胆管炎を9例(28%)に,十二指腸への瘻孔形成による出血死を1例に認めた.cloggingせずに死亡した症例は32例中18例(56%,平均162日)で,4例(16%,平均168日)が生存中である.自験のPS症例(n=23,平均68日)と比較して,MS症例(n=21,平均157日)は有意に長い開存期間を示した.また,自験の進行膵癌の手術症例でPD群12例(stage III6,stage IV6)とbypass術群11例(stageIV11)および総合画像診断でstage IVと診断したMS群11例の生存曲線を比較すると,PD群,MS群,bypass術群の順に予後がよい傾向を示したが,各群間に有意差は認めなかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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