日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による食道・胃静脈瘤治療法の選択
杉山 幸一中山 裕一大原 秀一関根 仁森山 聰木村 義人浅木 茂豊田 隆謙
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1996 年 38 巻 10 号 p. 2391-2400_1

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抄録

 われわれは,EUSによる食道・胃静脈瘤の検討を行い壁内外血管構築像の解析から,その血行動態をtypical,atypicalの2つにパターン分類し,それに基づく治療法の選択基準を考案し本学会誌で報告した.本報では,この基準に則り新たな症例に対してprospective studyを行い,治療法の選択におけるEUSの有用性を検討した.対象63例の治療内容はEIS単独39例,EVL,EIS併用11例,CA,EIS併用3例,B-RTO10例であった.治療成績はEIS単独群ではEVISの描出は100%と良好で,うち94%で供血路までの造影が得られた.硬化剤の血管内注入量は平均11mlと安全域であった.EVL,EIS併用群では食道壁内血管完全消失例は91%と良好であった.B-RTO群では排血路を含め100%の消失率が得られた.また高度肝予備能低下例を含め治療手技による重篤な合併症は1例も認めなかった.今回の結果からEUSにより食道・胃静脈瘤の適切な治療法の選択が可能であると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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