抄録
症例は50歳,男性,大酒家.禁酒のため1990年6月よりcyanamide150mg/dayを約6カ月間,計27g服用した.cyanamide中止後も禁酒を続けていたがGOT,GPTの上昇を認めたため1992年6月腹腔鏡下肝生検を施行した.腹腔鏡では表面に小陥凹が散在し色調は黄白色調であった.肝生検では典型的なground glass appear-anceを呈し,cyanamideによる薬剤性肝障害と診断した.無治療にて経過観察し,1993年11月GOT,GPTが正常化し再度肝生検を行いground glass appearanceの著明な改善を認めた.