日本消化器内視鏡学会雑誌
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病態生理学的立場からみた胃炎の検討
工藤 峰生
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1996 年 38 巻 3 号 p. 828-837

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抄録
自覚症状の有無により有症状群55例と無症候群145例の合計200症例を対象としてH.pylori万と内視鏡的胃炎,病理組織学的胃炎との関連について検討を行った.またH.pylori感染と血清ペプシノーゲン,血清ガストリンとの関連についての検討も行った.H.pylori感染の有無と上腹部症状には関連性が認められなかった.胃粘膜における炎症細胞浸潤は単核球浸潤,好中球浸潤ともH.pylori陽性例で明らかに頻度が高く,程度も強かった.胃炎の進展により胃粘膜の萎縮や腸上皮化生を伴ってくるが,その原因の多くはH.pylori感染であると考えられた.血清ペプシノーゲンは胃粘膜の萎縮を示す他にH.pylori感染の有無を判定するマーカーとしての意義もあるものと考えられた.血清ガストリン値はH.pylori万感染例で高い傾向を示した.これらの結果よりH.pylori感染は胃炎の発生および進展に密接な関係を持つものと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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