1996 年 38 巻 9 号 p. 2181-2187_1
症例は67歳女性のB型肝硬変例で,近医で食道静脈瘤に対し8回の予防的硬化療法(EIS)を受けたが効果なく,当院を紹介された.内視鏡検査にて胃静脈瘤と連続する巨木型食道静脈瘤(pipe-line varix)を認めた.Vasopressinを滴下しつつイオパミドール入り5%エタノールアミンオレイト(以下EOI)のほか,エタノールも使用して硬化療法を行ったが,血流量が多く効果を認めなかった.そのため胃バルーンと食道バルーンを使用して2点で静脈瘤を圧迫して血流を遅滞させる方法により,再度硬化療法を行った.本法により長時間に渡る硬化剤の停滞と静脈瘤縮小効果が得られた.この方法は通常の処置により効果のみられない巨木型食道静脈瘤症例に対し有効な手技と考えられた.