日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
高出力半導体レーザーにICGを併用した内視鏡治療法の検討(1)
―摘出ブタ胃および開腹下イヌ胃に対する照射―
林 琢也荒井 恒憲田尻 久雄黒木 雅彦下屋 正則青野 茂明小林 正彦永尾 重昭宮原 透日野 邦彦菊地 眞丹羽 寛文
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 39 巻 10 号 p. 1753-1765

詳細
抄録

 粘膜下層浸潤癌(sm癌)を含め早期胃癌のレーザー内視鏡治療をより合目的なものとするため,基礎的検討として濃度1mg/mlのインドシアニングリーン(ICG)溶液を摘出ブタ胃および麻酔開腹下のイヌ胃の粘膜下層に注入後高出力半導体レーザーを照射し,その蒸散能の検討を行った.本研究に用いた半導体レーザーの発振波長は805nmであり,ICGの吸収スペクトルのピークに一致する.このため半導体レーザー光は粘膜下層のICGに吸収され粘膜下層が効率よく蒸散された.また粘膜下層にICGが残存する間はレーザー光は固有筋層へ透過せず,固有筋層は傷害を受けないことが証明された.粘膜下層のICG残存の有無はICGの色調を指標にして肉眼的に判断できるため,蒸散深度の把握が可能であった.本法は粘膜下層まで浸潤をきたした癌を穿孔の危険なく治療可能であり今後実用可能な内視鏡治療手技として期待される.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top