日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
高出力半導体レーザーにICGを併用した内視鏡治療法の検討(2)
―イヌ胃に対する内視鏡下照射―
林 琢也荒井 恒憲日野 昌力田尻 久雄黒木 雅彦下屋 正則青野 茂昭小林 正彦永尾 重昭宮原 透増田 勝紀鈴木 博昭日野 邦彦菊地 眞丹羽 寛文
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 39 巻 10 号 p. 1766-1774

詳細
抄録

 粘膜下層浸潤癌を含めた早期胃癌の内視鏡治療をより安全で確実なものとするために,われわれは胃粘膜下層にインドシアニングリーン(ICG)溶液を注入し,半導体レーザーを照射する方法の基礎的検討を行ってきた.本論文では麻酔下のイヌ胃に対し内視鏡下に本法を施行し,固有筋層傷害のない粘膜下層の蒸散が可能か否かを検討した.胃体部粘膜下層に1mg/mlのICG溶液を平均8m1注入し,レーザー照射を行った.25W,1秒の条件で同一箇所へ4~5回の繰り返し照射により粘膜層は蒸散除去された.粘膜下層露出後は蒸散表面の色調を観察しつつ照射することで固有筋層を傷害することなく粘膜下層深層まで蒸散が可能であった.照射6日後には照射部の潰瘍は治癒傾向にあることが内視鏡検査および組織学的検討により確認された.以上の結果より内視鏡下照射での本法の効果と安全性が確認でき,手術困難な早期胃癌を中心に臨床応用が可能と考えられた.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top