1997 年 39 巻 10 号 p. 1781-1792
早期大腸癌1,019例(sm癌:248例)における内視鏡所見について,深達度診断における重要性を多変量解析にて検討した.sm癌での脈管侵襲はsm1bから認め,リンパ節転移はsm1cから認めた事より,内視鏡的治療の限界がsmlbまでと考えた.陥凹型早期癌におけるsm 1c以深の診断に影響度の強い因子は,IIa+IIc,11mm以上の腫瘍径,VN型pit pattern,白斑,内視鏡的硬さ,空気変形(-),面状の辺縁不整,病変内隆起.隆起型早期癌では,有茎性でないこと,11mm以上の腫瘍径,V型pit pattern,白斑,緊満感,内視鏡的硬さ,茎の腫大.LSTでは結節混在型,非顆粒型,31mm以上の腫瘍径,VN型pitpattern,白斑,内視鏡的硬さ,空気変形(-),ヒダ集中であった.以上の検討から,内視鏡的治療の適応となる早期癌は,90%以上の正診率で判定できることが分かった.