1997 年 39 巻 10 号 p. 1793-1798
症例は39歳女性.4年前に右乳癌に対し非定型的乳房切断術と術後化学療法を受けた.その2年後に肺及び肝転移巣も認めた.今回,嚥下困難をきたしたため精査となった食道造影及び内視鏡検査にて食道下部に乳癌の食道壁内転移による狭窄を認め,食道狭窄解除術として内視鏡的にSelf-expanding metal stent (EMS){Ultra-Flex}を留置した.術後食道の十分な拡張が得られ,合併症もなく症状は改善した.術後約4カ月後に肺転移巣による呼吸不全にて死亡した.