日本消化器内視鏡学会雑誌
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石灰沈着を伴った胃癌の1例
磯本 一松永 圭一郎大谷 博下川 功竹島 史直大曲 勝久水田 陽平牧山 和也河野 茂
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1997 年 39 巻 3 号 p. 665-670

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抄録

X線検査で石灰化を認める胃癌は稀である.今回,われわれは,腹部単純写真(以下腹単)および腹部CTにて石灰化が顕在化した胃癌の1例を経験したので報告する.症例は88歳男性.検診のMDLで胃の隆起性病変を指摘され,入院となった.胃内視鏡検査では,胃体下部小彎に周囲に陥凹を伴い,厚い白苔に覆われた隆起性病変を認め,生検組織は印環細胞癌であった.入院時には石灰沈着はみられなかった.糖尿病も合併していたため化学療法を施行したが,12カ月後のCTで限局性に肥厚した胃壁の一部に認められた石灰化像が癌の進行とともに増強していった.入院26カ月後には腹単でも石灰化がみられ,28カ月後癌性腹膜炎で死亡した.剖検では,腫瘍割面に石灰沈着がみられ,組織学的にも膠様腺癌組織内に石灰化像が確認された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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