日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤に対するICG dye enhanced diode laser photosclerotherapyの開発― 基礎的検討と臨床応用―
日野 昌力林 琢也角谷 宏池田 圭一奥脇 秀一郎増田 勝紀鈴木 博昭菊地 眞池上 雅博河上 牧夫高橋 恒夫
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1998 年 40 巻 11 号 p. 1957-1965

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抄録
食道静脈瘤の新しい治療法として半導体レーザーを用いた内視鏡的治療法を考案した.本法は,インドシアニングリーン(ICG)を静脈瘤周囲の粘膜下層に注入した後,比較的低出力で半導体レーザーを照射する方法である.ICGは半導体レーザーの発振波長805nrnに吸収のピークを有しているため,静脈瘤周囲組織におけるレーザー光吸収を増強する.イヌ食道を用いた実験では,表面欠損を生じることなく照射でき,急性期の組織像では粘膜下層の深部まで顯固が認められた.1カ月後には糊莫・粘膜下勵ま讎化で置き換わっていた・固有筋層には,明らかな変化は認められなかった.基礎検討に基づいて食道静脈瘤6例に対しEVLとの併用治療を試みたところ,全例短期間の治療で静脈瘤の完全消失が得られた.2例で狭窄が認められたが軽度であった.本法は,食道静脈瘤に対する簡便,安全かつ効果的な治療法として臨床応用可能と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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