日本消化器内視鏡学会雑誌
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糖尿病患者の内視鏡検査時におけるグルカゴンの安全性の検討
―グルカゴンの血糖値とケトン体への影響―
増永 高晴篠崎 公秀高山 嘉宏竹田 亮祐
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1998 年 40 巻 2 号 p. 150-159

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抄録

内視鏡検査前処置剤として使用されるグルカゴンの糖尿病患者における安全性を検討する目的で,糖尿病患者33例を対象にグルカゴン投与の血糖値と血中総ケトン体に及ぼす影響および胃蠕動抑制効果について検討した.グルカゴン1mg筋注後血糖値は60から120分で最高血糖値(頂値)に達した.頂値,血糖上昇度は食事療法群(6例),経口血糖降下剤群(19例),インスリン群(8例)の順で高い傾向を示した,頂値の最大は340mg/d1,上昇度の最大は138mg/dlであった.前値150mg/dl以上の症例における血糖上昇率は134%~178%であった.血中総ケトン体は経口血糖降下剤群とインスリン群で低下傾向を示した.グルカゴン1mg筋注10分後の蠕動消失率は約7割であった.以上より,糖尿病患者においても"fair"controlの範囲内であれば,グルカゴン注射によって,高血糖性昏睡等の急性合併症をおこす可能性は少なく,グルカゴンは前処置剤として安全に使用できると思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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