抄録
Endoscopic mucosal resection(EMR)は粘膜下層に生理的食塩水を注入して病変を隆起させた後にポリペクトミーする治療手技である.しかし,この方法における至適注入量や注入液の貯留部位,注入時の粘膜下層の動態,及び切除範囲は明らかでない.今回われわれは粘膜下注入法の安全性を検討することを目的として,注入法の基礎的実験を行い,臨床に応用した.実験方法として,切除標本に粘膜下注入を行い,超音波画像で注入による液体の拡がりを観察し,至適注入量を求めた.また,その凍結切片を作成し注入直後の粘膜下層を組織学的に検討した.臨床応用として大腸腺腫29病変に対しEMRを施行し,切除標本上の腫瘍径,切除径,粘膜筋板から断端までの距離をミクロメーターを用いて計測した.その結果,至適注入量は4~7mlであり,一定の条件下でEMRを施行した場合,切除範囲と深さは腫瘍径と相関することが明らかになった.