日本消化器内視鏡学会雑誌
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41 巻, 7 号
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  • -粘膜下注入量と切除範囲の検討-
    石黒 彩子, 宇野 良治, 石黒 陽, 棟方 昭博
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1293-1300
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Endoscopic mucosal resection(EMR)は粘膜下層に生理的食塩水を注入して病変を隆起させた後にポリペクトミーする治療手技である.しかし,この方法における至適注入量や注入液の貯留部位,注入時の粘膜下層の動態,及び切除範囲は明らかでない.今回われわれは粘膜下注入法の安全性を検討することを目的として,注入法の基礎的実験を行い,臨床に応用した.実験方法として,切除標本に粘膜下注入を行い,超音波画像で注入による液体の拡がりを観察し,至適注入量を求めた.また,その凍結切片を作成し注入直後の粘膜下層を組織学的に検討した.臨床応用として大腸腺腫29病変に対しEMRを施行し,切除標本上の腫瘍径,切除径,粘膜筋板から断端までの距離をミクロメーターを用いて計測した.その結果,至適注入量は4~7mlであり,一定の条件下でEMRを施行した場合,切除範囲と深さは腫瘍径と相関することが明らかになった.
  • ―カラードプラ超音波内視鏡を用いた検討―
    日野 昌力, 角谷 宏, 池田 圭一, 荒川 広志, 増田 勝紀, 鈴木 博昭
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1301-1307
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤初回治療前の30例(未治療群)と治療後1年以上経過している18例(長期経過群)に対しカラードプラ超音波内視鏡(CD-EUS)を施行し血行動態を比較検討した.行われた治療はEVL,AS-EIS併用法である.その結果,1.左胃静脈本幹の血流は両群ともに遠肝性が多く,流速は両群間で有意差はみられなかった.2.左胃静脈の分枝形態は未治療群で前枝優位型が多かったのに対し,長期経過群では後枝優位型が多かった.3.傍食道静脈は長期経過群で有意に発達していた.4.貫通枝の描出率は長期経過群で有意に低率であった.以上より,EVL,AS-EIS併用法では追加治療を行いながら長期にわたり経過観察することで,前枝および貫通枝が消退し,後枝,傍食道静脈が発達する.これがシャント血管として機能することによって再発に関して良好な予後が得られるようになると考えられた.
  • 詫間 義隆, 吉岡 敏文, 澤山 智之, 荒尾 徳三, 清藤 哲司, 田中 盛富, 間阪 拓郎, 山崎 弘子, 上坂 好一
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1308-1312
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳,女性.嘔気,嘔吐を主訴に当科入院.上部消化管内視鏡検査で胃幽門前庭部にIIa+IIc様病変を認め,同部からの生検では好酸球浸潤を認めた.末梢血中の好酸球も上昇し,好酸球性胃腸炎と診断した.プレドニゾロン内服によって臨床症状は消失し,末梢血好酸球も正常化し,内視鏡検査でも病変は消失した.本邦の胃病変を伴う報告例55例を検討したところ,本例のようにIIa+IIc様病変を認める報告はなく,癌との鑑別上重要と思われた.
  • 濱戸 教行, 伴 信之, 森岡 淳夫, 高幣 和郎, 岡崎 和一
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1313-1317
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸節神経線維腫と蛋白漏出性胃腸症を伴ったCowden病の1例を経験したので報告する.症例は48歳,男性,浮腫を主訴に来院した.胃切除の既往あり.顔面,頸部に小丘疹,両手に角化性病変,左足に線維腫あり.胃切除による鉄吸収障害が原因と思われる鉄欠乏性貧血と蛋白漏出性胃腸症による低蛋白血症を認めた.食道,胃,小腸,大腸にポリポーシスを認め,病理組織学的には主に炎症性ないし過形成性ポリープであったが,盲腸に径2.5cmの大腸節神経線維腫を認めた.
  • 小山内 学, 野村 昌史, 泉 信一, 柳川 伸幸, 渡辺 晴司, 高橋 邦幸, 潟沼 朗生, 伊藤 英人, 桜井 康雄, 辻 邦彦, 姜 ...
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1318-1322
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.腹部重苦感,便秘にて外来受診.その後,腸閉塞となり入院となる.骨盤腔CT検査を施行したところ,回腸腫瘍による腸閉塞が疑われた.大腸内視鏡検査により,回盲部より約20cmの回腸に全周性の腫瘍性病変を認めた.回盲部切除術を施行し,病理組織学的には腺腫成分を伴った深達度seの進行癌であった.原発性小腸癌はまれな疾患であり,また腺腫併存例の報告は少なく,貴重な症例と考えられた.
  • 諸角 強英, 尾本 正, 宮崎 洋史, 柴多 三省, 奈良井 慎, 山内 健義, 古平 喜一郎
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1323-1329
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1は79歳男性.横行結腸に多発嚢胞性リンパ管腫と早期癌,S状結腸に進行癌と早期癌を認めた.症例2は54歳女性.上行結腸に海綿状リンパ管腫,横行結腸に進行癌を認めた.大腸癌と大腸リンパ管腫を合併した症例は自験例を含め本邦報告12例である.リンパ管腫は海綿状リンパ管腫が多く,大腸癌は好発部位以外の進行癌や早期癌が多いといわれている.リンパ管腫による症状はなく両者の合併の因果関係については不明である.
  • 下山 雅朗, 酒井 靖夫, 高久 秀哉, 瀧井 康公, 岡本 春彦, 須田 武保, 畠山 勝義
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1330-1335
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    顆粒細胞腫は皮膚,食道,舌に好発するが,大腸での報告例は稀である.われわれは盲腸に発生した多発顆粒細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は44歳女性,大腸内視鏡検査にて盲腸に2個の粘膜下腫瘍を認め,腹腔鏡下に切除した.腫瘍細胞は好酸性の顆粒を含む胞体を有し,その顆粒はPAS染色陽性であり,ジアスターゼ消化に抵抗性であった.免疫組織学的染色ではS-100蛋白陽1生であり,顆粒細胞腫と診断した.
  • 大川 清孝, 黒岡 浩子, 追矢 秀人, 佐野 弘治, 青木 哲哉, 針原 重義, 阪本 康夫, 北野 厚生, 黒木 哲夫
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1336-1341
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は73歳,女性.便に粘液の付着があるため,他院にて内視鏡検査を行ったところ,直腸からS状結腸にかけて白色調の微小隆起が密にみられた.経過観察されたが確定診断に難渋し当院を紹介された.便培養でClostridium difficileが検出され,偽膜性大腸炎と診断した.本例は抗菌剤未使用の偽膜性大腸炎である点,無治療にて内視鏡的に経過観察されている点で貴重な症例であった.
  • 仲吉 朝邦, 小橋川 嘉泉, 前城 達次, 与儀 裕, 金城 福則, 斎藤 厚
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1342-1347
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.下腹部痛,水様性下痢便を主訴として当科受診,下腹部に腫瘤を指摘され精査目的にて入院となった.各種検査にて大腸腸間膜脂肪織炎と診断し,保存的治療を行った.第40病日頃から粘液便が出現し,上部直腸~下行結腸に縦走潰瘍を認めた.その後も保存的治療を継続し,第80病日頃軽快した.本症例は腸間膜脂肪織炎に虚血性腸病変を併発したものであり,これら疾患の病態を考える上で貴重な症例と思われた.
  • ―多施設検討―
    塚田 圭子, 安田 健治朗, 中島 正継, 斉藤 裕輔, 藤井 常志, 高後 裕, 小原 勝敏, 入澤 篤志, 粕川 禮司, 水野 成人, ...
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1348-1355
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    オリンパス社で新たに開発された上部消化管用の超音波電子内視鏡(GF-UMP230)は,従来機(GF-UM200)よりも小型の撮像素子(CCD)と単一の超音波振動子(7.5MHz)を組み込み,外径の細径化と先端硬性部の短縮化を計ったものである.6施設において705例(消化管疾患246例,膵疾患298例,胆道疾患161例)に本機でEUSを施行し,その臨床的有用性を検討した.本機のCCDの内視鏡画面は従来機より小さいが,画像は良好であり,病変の観察にも支障は無かった.また,超音波画像も従来機の周波数(7.5MHz)での画像と同様の画像が得られ,胃癌の深達度診断の正診率(77.9%)も従来機の成績(79.6%)とほぼ同等であった.本機の最大の利点は外径の細径化と先端硬性部の短縮化による操作性の向上にあり,特に食道や十二指腸下行脚への挿入性は従来機よりはるかに優れていた.以上より,本機種はEUSの更なる普及のために有用であると評価しえた.
  • 境 吉孝, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 八子 章生, 松永 厚生, 結城 豊彦, 野村 美樹子, 佐藤 匡, 石田 ...
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1356-1360
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)は手技の確立及び処置具の改良により,安全性と有用性が広く認識され,その適応も広がってきている.しかし手技に伴う合併症は現在も依然として認められ,これを最小限にとどめることは非常に重要な課題である.今回われわれはブレード近位部をフッ化樹脂にて被覆したスフィンクテロトーム(オリンパス社製)をESTに際し使用し,その利点,欠点について通常型のスフィンクテロトームと比較検討した.被覆型スフィンクテロトームを使用してESTを施行した群での結果は従来型スフィンクテロトームでのEST施行群と同様で,重篤な偶発症は認めなかった.従来型と比較し,(1)通電時のブレードによる十二指腸粘膜の損傷や,ブレードと内視鏡先端部との電気的接触が回避できる,(2)ブレード先端部での切開が徹底されることから,より安全なESTが可能であると考えられた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1364-1374
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1375-1386
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 7 号 p. 1387-1391
    発行日: 1999/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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